ADempiereでは、基本的には、プロセスクラスがひとつのトランザクションクラスを保持し、
トランザクションクラスがひとつのコネクションを保持するという関係になっている。
プロセスクラスでひとつだけのトランザクションを使用する場合においては
プロセスクラスがトランザクションとコネクションを管理してくれるようになっている。
例外的には、スレッドなどを使うために、プロセスクラスで複数のトランザクションを使用する場合がある。この場合は、プロセスクラスに依存せず、トランザクションやコネクションの管理を適切におこなう必要がある。
プロセスクラスでひとつのトランザクションを使用する場合においては
プロセスクラスがトランザクションとコネクションを管理してくれるので
(プロセス開始時にトランザクション開始して、プロセス終了時にトランザクションを終了)
複数のトランザクションを使用しない限り、コミット漏れなどを気にする必要はないように見える。
注意が必要なのは、以下に説明するModelクラスを使用する場合とDB.javaのstaticメソッドを使用する場合である。
■Modelクラスとトランザクション
Modelクラスでのトランザクション管理は、少し複雑であるが
大きく分類すると
Modelクラスでトランザクションを作成してクローズするのか、
Modelクラスにトランザクションを外から渡し、トランザクション管理は呼び出し側でおこなうという2通りがある。
<Modelクラスにトランザクションを外から渡す場合>
まず、Modelクラスにトランザクションを外から渡す場合である。
ADempiereでは、通常このパターンでModelクラスを運用することが多いと思われる。
これは、Modelクラスをインスタンス化するときに、以下のようにトランザクション名を渡すことで、
Modelクラスに外からトランザクションを渡せるようになる。
MPPOrder ppOrder = new MPPOrder(getCtx(), 0, get_TrxName());
通常は、Processクラスのget_TrxName()メソッドを使用して、プロセスクラスが保持しているトランザクションをそのまま渡すことで、ProcessクラスとModelクラスとのトランザクションを統一している。
この場合、Modelクラスのsave()メソッドを呼び出しても、コミットやトランザクションのクローズはされず、これらは呼出元に任されることになる。
つまり、呼出元で必ずコミットやクローズをするようにしないとトランザクションが残ってしまう。
☆呼出元でトランザクション管理をすることが必須となるので注意が必要。(プロセスクラスからの呼び出しであればプロセスクラスがやってくれる。)
また、この場合、エラーがおこったとき、ロールバックはされないが、SavePointを使用して、このModelクラスでおこなった更新処理だけを元に戻すようになっている。
<Modelクラスにトランザクションを外から渡さない場合>
Modelクラスにトランザクションを渡さない場合は、Modelクラス内部で新しいトランザクションが作成される。また、トランザクションは、Modelクラス内でコミットまたはロールバックがおこなわれ、クローズまでされる。Modelクラスないだけで利用されるいわゆるローカルトランザクションとなる。
■DB.javaのStaticメソッドとトランザクション
DB.javaでは、SQLを単発的に実行できるStaticメソッドがたくさん定義されている。
これらのメソッドでも、トランザクション名を外から渡せるようになっており
Modelクラスと同様に、トランザクションを外から渡すか、内部で作成するかを選ぶことができる。
ただ、コミュニティ版のDB.javaでは、コネクションのクローズ漏れがあり
これらのメソッドに、トランザクション名をNullで渡すと、コネクションが残ってしまう。
SMBアソシエイツ社では、これらのDB.javaのStaticメソッドのコネクション漏れを修正している。
また、さらに、SMBアソシエイツ社では、複数トランザクションの実装やコネクションプールを使わない選択ができるようにプロセスクラスを改造している。
0 件のコメント:
コメントを投稿